TOSSランド


ーみんなが満足「酒井式描画指導法」ー

 中学年向き教材
    図工が苦手なぶきっちょさんも大満足!
             貼り絵「どんぐりと山猫」
                                  
 
上岸 栄里子
 

原実践は、酒井臣吾先生の「『宮沢賢治』作品(どんぐりとやまねこ)への新しい切り込み口『絵本
作り』です。宮沢賢治作「どんぐりとやまねこ」の一場面を、貼り絵として絵に表す指導法です。
酒井臣吾先生のシナリオの追試です。

出典:楽しい絵画教室13号 52p〜56p
「『宮沢賢治』作品(どんぐりとやまねこ)への新しい切り込み口『絵本作り』 酒井臣吾」「(明治図書)

全学年で実践可能ですが、構成力を鍛える点、手先を鍛える点で、この実践は、中学年でお勧
めです。(推薦:TOSSきときときっとサークル)
 
<準備物> 
 1 色画用紙 山猫の体用・・茶色、黄土色、黒色など、山猫のような色(8つ切りサイズ)
山猫の顔の部品用・・白、赤、緑、水色、黄色、黒色など目立つ色
                        (切れ端サイズでよい)
山猫の服(ちゃんちゃんこ)・・できれば千代紙(色紙サイズ)
台紙・・・藍色、紺色、黒色、緑色、灰色など山猫が生える色
(4つ切りサイズ)
どんぐり用・・・茶色にこだわらず、いろいろな色がよい(切れ端サイズ) 
 2 のり
 3 はさみ
 4 水彩道具 0号か2号の筆
        絵の具・・・白色、黒色、藍色など、台紙に生える色
        パレット
        水彩バケツ
        水彩用ぞうきん
 5 のり付け用、台紙
 6 鉛筆 

<制作の順序> 
1 「どんくりと山猫」の話を聞かせる
 ※ 今回は、絵にする場面のみ、話します。
 
2 どの場面のどんな様子をどんな手法で絵に表すか、説明する
 山猫がどんぐりたちを前に、判決を言い渡す場面が、一番盛り上がり、絵にしやすい場面です。なる
べく「ちぎり絵」感覚で作りましょう。
 ホームページや写真などで、どんな作品にするのか紹介すると、子供たちにとってはイメージができ
やすいので、以下のサイトを参考にしてください。
 
  「酒井式お話の絵」HP
  
3 山猫を作る
@ 八つ切り画用紙の1/4を顔にする。このとき、親指と人差し指でちぎる。ちぎる時は、カタツムリの
線を描くように、少しずつちぎる。画用紙の残りの部分で、耳をちぎる。
A 他の色の画用紙で、耳の中、目、口、ひげ、牙などの部分を作る。細かい部品は、はさみを用いて
もよい。
B @とAの部品を置いてみて、福笑いの要領でいろいろ組み合わせ方を試してみる。貼り合わせな
いことが大切。
C Bで一番ユーモラスになったところで、貼り合わせる。鉛筆で、貼る場所のアタリを付けておくとよい。
D 残りの1/4の画用紙で、山猫の胴体を作る。胴体は顔より小さめに作るとよい。ちゃんちゃんこを
作り、着せる。のりで貼ってみる。
E 残りの1/4の画用紙でそれぞれ腕と足を作る。関節で分割して作る。
F 手と足の爪を作り、貼る。
G 作った部品と顔を組み合わせ、一番動きが出るまで、動かしてみる。大事なのは、顔と胴の組み合
わせ方である。また、四つ切り画用紙の台紙からはみ出ないように注意する。

※ 山猫と台紙の色は、いろいろ準備し、子供自身に選ばせるとよいです。
※ 実際に教室での実践は、顔で1時間、体で1時間が目安です。
※ 時間差が出るときは、早く終わった子には読書を、時間内に間に合わない子は、休み時間を利用し
て仕上げるように指示します。
 
4 どんぐりを作る
 @ どんぐりの体を作る。
 A 手や足を作り、貼る。
 B 目や鼻、口をサインペンで描く。 

※ 山猫に負けないよう、どんぐりの個性を考え、大きさ、太さ、形など、一つ一つ違いを考え て、一つず
つ仕上げていくようにします。10〜15個ぐらい作るとよいです。
 
5 山猫とどんぐりを台紙に貼る
 できあがった山猫とどんぐりたちを、いろいろ組み合わせてみる。どんぐりの位置は、混み合う部分、まば
らな部分、いろいろな向きを向く、重なる所があるなど、「散らばりの原則」を教えるとよい。
 
6 文字を書く
 判決を申し渡す山猫のセリフ3パターンを示し、子供に選ばせる。
 低学年や中学年は、鉛筆で下書きをするとよい。
 字と字の間隔は、なるべくくつけるとよい
 カタツムリの線で、ゆっくりと書く。
 水彩は、とろりとした絵の具(しゃわしゃわではよくない。いろいろ濃さを試してみてください。)で、ゆっくり
と書かせる。絵の具の色は、台紙に映える色がよい。濃いめの台紙の場合、白色を少し混ぜて不透明に
すると、字が映える。
 
7 酒井式のよさ
 「酒井式」のよさは、子供の作品がどんな状態になろうとも、褒めて褒めて褒めまくり、決して子供に「だめだ」
と思わせない所です。そのためには、どんな状態でも、「どうしたら作品が生きてくるか」を考え、子供にアド
バイスする必要があります。先生自身がいろいろ試してみると、だんだんとアドバイスができるようになります。
すると、クラス全員が、自分の作品を好きになります。
 
<参考文献> 明治図書:「楽しい絵画教室」13号(酒井臣吾編集長)