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苦手な図工も宮澤賢治も酒井式で安心−「どんぐりと山猫」追試−


三國大輔


 図工が苦手な先生でも実践可能。子ども達は貼り絵に夢中になる。西岡美香氏「どんぐりと山猫」の修正追試。



1 原実践

西岡美香「『どんぐりと山猫』追試」(インターネットランドNo.1241163)

西尾文昭「どんぐりと山猫〜酒井式はり絵で、初心者も大成功〜」  
  酒井臣吾・酒井式描画法研究会北陸支部『酒井式描画法で宮澤賢治の世界を、こう描く』(2000年5月、明治図書)所収。

2 準備物

 第1幕 色画用紙(色々な色)四つ切と、四つ切の1/32の大きさ、『どんぐりと山猫』の本(読み聞かせ用)、新聞紙(子供に2枚ほど
     持ってこさせておく)、のり、はさみ  
 第2幕 色画用紙(色々な色)四つ切と、四つ切の1/32の大きさ、のり、はさみ、新聞紙で作った袋、新聞紙(糊付け用)、千代紙
 第3幕 色画用紙(色々な色)四つ切と、四つ切の1/32の大きさ、のり、はさみ、新聞紙で作った袋,新聞紙(糊付け用)、ネームペン 第4幕 絵の具セット、四つ切の1/32の大きさ、のり、はさみ、プリント、練習用紙

3 展開

 第1幕 お話を聞いて、山猫の顔を作る。

@ 『どんぐりと山猫』の読み聞かせをする。

   文章が長い。飽きさせないように感情を込めて読まなければと反省している。

A 裁判の場面を描くことに決める。

B 新聞紙で道具袋を作る。(余った画用紙やちぎったかすなどを入れる。)

C 山猫の色を決める。(茶色、黄色、黒、赤など)

D 決めた色の画用紙(四つ切りを4等分)で山猫の頭を作る。

  ・「かたつむりの線」「大きめにちぎる」「四角い頭にならないように」    
  ・小さく描いたり作ったりする子供が多いので、「自分のげんこつより小さくならないように」作るように言ったが、やや大きすぎたと反   省している。

E 耳を作る。

F 他のもの(目・鼻・口・ひげ・耳の中・きば・眉毛など)を作る。

  ・色画用紙を1/32に切ったものは,できるだけたくさんの色を準備する。
  ・よく使うのは黄色系,茶色系,白,赤。学校指定の文具店へ出かけ、いろいろな画用紙を1〜2枚ずつ選んできた。

G 配置する。(個別チェック)

  ・「だまれ,やかましい。ここをなんと心得る。しずまれ,しずまれ。」威張った山猫になるようにと叫んでみせる。    
  ・目の角度や,耳の位置,牙の方向などでもずいぶんと顔が変わる。


  第2幕 山猫の体を作る。

@ 新聞紙を半分にし、台紙の大きさを確認する。

A 第1幕で切った1/4の画用紙を1枚使い、山猫の胴体を作る。

   四角い胴体にならないように,思い切って丸みをつけてちぎる。

B 残りの紙で手と足(3つの部分に分けて)、しっぽを作る。

   短く、細く作る子供が多かったので、前掲書の掲載写真をちらっと見せた。衝撃    を受け、即座に修正し始めた。

C 山猫に陣羽織を着せる(袖無し)。

   文具店で安い和紙セットを買った。子供たちは和紙を使いたがると思っていた。しかし、1/32の色画用紙をうまく組み合わせて陣    羽織を作っていた。感心した。

D 顔と胴体などの並べ方を考える。  

   子供たちを集め、やって見せた。顔や胴体を傾けるだけで、随分感じが変わることに気づくことができた。真っ直ぐに並べた子供た   ちは、即座に修正を始めた。

E 手や足に爪を作る。


  第3幕 どんぐりを作る。

     子供が一番熱中する。

@ どんぐりがどんなことで言い争いをしていたのか振り返る。教師の語り。

A  1/32の色画用紙を使い、どんぐりを10個作る。

   違った性格、違った体格のどんぐりにする。机間指導。

B 台紙の上に配置して、教師に見せる。

C 台紙を選ぶ。

  ・酒井臣吾氏は第2幕の最後で台紙を選ぶのがよいとしている。(前掲書)

  ・文具店に出かけ、色画用紙を全種類一枚ずつ購入してきた。黒色と灰色の台紙はどんな色の猫にも合うので、5枚ずつ購入した。

  ・明るい色の山猫には暗い色の画用紙、というように、個別チェックを行う。

  第4幕 せりふを書く。

  ※ 作品の生死がかかるところ。

A:だまれ やかましい ここをなんとこころえる。しずまれ しずまれ (山ねこが ひげをぴんと ひねっていいました。)
B:さいばんも もう今日で 三日目だぞ。いいかげんに なかなおりをしたらどうだ。
C:もうしわたしだ。 このなかで いちばん えらくなくて ばかで めちゃくちゃ  てんでなってなくて あたまのつぶれたようなやつが
  いちばんえらいのだ

@ 上記のせりふを書いたプリントを配り、どれを書くのか選ぶ。

  ・たくさんの文字を書くと、文字ばかりが目立ち、細かい作業に苦しむことが予想 された。そこで、Aならば「だまれ やかましい」の    ように、極力短く絞るように言った。A「だまれ やかましい」「しずまれ しずまれ」B「いいかげんに・・・」が多かった。Cを選んだ子    供はいなかった。

A どの色で書くのか決める。

   明るい色の台紙には暗い色の文字、というように、個別チェックを行う。

B 下書きをする。

   まずは鉛筆で下書きさせ、個別チェックを行う。文字の小さい子供が多かった。 練習をさせたが不要であったと反省する。

C 慎重に書く。

   「絵筆で書く」「文字を作って貼る」「クレパスで書く」の方法から選ぶように言った。文字を作る子供は一生懸命やっていたが、一文   字でもうまくいかないと目立ってしまう。クレパスは提示する必要がなかった。絵筆一本に絞ればよかった。

4 鑑賞

白土勲「酒井式鑑賞法」(インターネットランド1243084)

   「良いとこ見つけ」のとっておきの方法が書かれている。

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